遺産相続の問題は、悩ましい問題です。
遺産を巡って、遺族間でトラブルになるケースも少なくないようです。
亡くなられた方が、遺言を残して遺産の分配方法を指示している場合は、その遺言の指示に従う必要があります。
遺言で遺産の分配方法が指示されていない場合は、法律で定められた方法にのっとって遺産の相続が行なわれます。それを法定相続といいます。
法定相続では、遺族のうちの誰が、どれだけ遺産を相続するか、と言うことが細かく定められています。
例えば遺産を残して亡くなられた方(被相続人といいます)に、配偶者と子どもがいた場合、配偶者に二分の一、子どもに二分の一が分配されます。子どもが複数いた場合は、その二分の一を平等に子ども同士で分配します。非嫡出子の場合は、嫡出子の二分の一となります。
配偶者がいない場合は、子どものみが相続することになります。子どもがいない場合や、遺言によって遺産を分配されなかった場合に請求できる遺留分など、少しこみ入った決まりごともあります。
遺産分割協議を行う場合には、相続人全員で行う必要があります。相続人の中に認知症などで判断能力の低下した方がいる場合にも、その方を除外することはできません。このような場合には、成年後見人の選任が必要となります。
近年話題にものぼり、その重要性が叫ばれているのが、「成年後見制度」ではないでしょうか。認知症や知的障害、精神障害などを患っている方は多くいらっしゃいます。そのような状態にある時、はたして貯金や不動産などの財産の管理をきちんとおこなうことはできるでしょうか。正直かなり難しいことと思われます。このように判断力が不十分な方の財産や生活を守るために、後見人がご本人の代わりとなって、権利や財産を守ることができるのが「成年後見制度」です。
「成年後見制度」は平成12年にスタートしました。成年後見人には、親族の方が選ばれるケースが多いのですが、司法書士など第三者後見人が選任されるケースも3割を超え、徐々に増えてきています。そして、第三者後見人のうち、その担い手として司法書士が一番関与しているのも事実です。たしかに、財産管理や相続などの専門知識を持つ司法書士なら任せても安心できますよね。後見人として期待度が高いのもうなずけます。「成年後見制度」における業務は、高齢化が進む社会において、これから一層拡大をみせることと思いますし、司法書士にとって要望の高い業務となるかもしれません。